『HATE! 真実の敵は憎悪である。』
グラフィックデザイナーの松田行正の手によるこの本には、世界中の人種差別(ヘイト)ポスターが収められている。
ポスターが制作され、流通していた当時はさぞ憎たらしいものに映ったのだろうけど、時代も文脈も異なる現代から見ると、それらはどこか愛らしいイメージに見えてしまう。何かを「憎む」ことは「愛する」ことと紙一重だとはいうけれど、この本ほどそのことを実感させてくれるものはない。
もちろん「ヘイト」は決して許される行為ではないが、この本を眺めていると、「なぜ人は憎むのか?」という疑問とともに「なぜ人は愛するのか?」という疑問が湧いてくる。
愛にも憎にも近い両義的なエネルギーが伝わってくる一冊だ。
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『HATE! 真実の敵は憎悪である。』(松田行正 著 左右社)
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