『Until Death Do Us Part / 双喜』モノローグ|語りかけてくるモノを見つめて vol.1

May 15,2020column

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May15,2020

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『Until Death Do Us Part / 双喜』 モノローグ|語りかけてくるモノを見つめて vol.1

文:
TD編集部 藤生 新

ふとした瞬間に語りかけてくる「モノ」たちがある。つい触れたくなる、誰かに伝えたくなる ー そんなモノたちと、それにまつわるエピソードを一口サイズでお届けしよう。

『Until Death Do Us Part / 双喜』

一見すると煙草の箱。しかし実は写真集だ。

タイトルは『Until Death Do Us Part / 双喜』。80年代の北京周辺で行われていた結婚式にまつわる煙草文化(花嫁が参列した男性たちの煙草に火を付けるというもの)を記録したスナップ写真が収められている。

北京在住のフランス人エディター、トーマス・ソヴァンの手によるこの本のテーマは「愛と死」。たしかに「死が二人を分かつまで(Until Death Do Us Part)」というタイトルにも示されている通り、この本からは死がどこか身近なところにあるもののように感じられる。

僕はこの本をデスクの一番よく使う引き出しの中に収めている。本物の煙草の箱が使われているからか、買って間もないころは、よく箱の中から煙草の香りが漂っていた。そんなとき、日常の中では思い出すことなんて皆無に等しい「死」という自然現象が、煙草の煙に乗って日常の中に侵入してくるような感じがした。

部屋に大自然の写真を飾って楽しむといった習慣は持ち合わせていないけれど、この煙草箱から覚える感覚はそれに近いのかもしれない。この本からは死という「自然」を感じるからだ。

引き出しに収まる自然。部屋を見渡してみたとき、どこか不穏で愛らしいこの箱が最初に目に留まった。

・ ・ ・

Until Death Do Us Part / 双喜』(Beijing Silvermine project)

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