(前回の記事)【試乗レポ】超小型EVの先駆け! トヨタ車体の1人乗りEV、コムスに乗ってきた
コムスはどんなところで使われている?
今回話を伺ったのは、コムスの営業、企画、デザイナーの3名。
トヨタ車体の新規事業開発部から、営業を担当するEV営業室長の佐野康弘氏、企画・開発を担当するEV・電子開発室 EV企画グループのグループ長である加藤秀人氏、そしてデザイナーとして現行コムスのデザインを手がけ現在はEV・電子開発室の主任である金高充志氏だ。
ちなみに、トヨタ車体は名前から分かるとおりトヨタ自動車の子会社で、アルファードやヴェルファイアをはじめとするミニバン、ハイエースなどの商用車、ランドクルーザーなどのSUV、福祉車両や特装車の企画・開発から生産までを手がけている。
その中で、コムスはトヨタ車体の独自事業。
企画・開発から生産、さらには営業まで、すべてを社内で推進している。
どんな人たちがコムスを買っているのでしょうか。
佐野:お客様の割合は、法人が8割、個人が2割といったところです。個人は9割が男性。年齢層でいうと50-60代の方が多いですね。
個人のお客様のイメージとしては「年をとってきて、もうあまり大きなクルマはいらない。でもまだシニアカーには乗りたくない」といったような方々。
私が把握している限りでは、そのようなお客様がセカンドカーやサードカーとして乗っているケースが多い印象です。
あとは、地方に住んでいる方ですね。最近はガソリンスタンドがかなり減ってきていて、最寄りのスタンドまで30km、なんて場所もあります。そんな場所でも電気はありますから、家庭用コンセントで充電できるコムスにメリットを感じていただいています。
佐野:はい、法人で一番多くご利用いただいているのはセブンイレブンさんです。あとはヤクルトさんの宅配、いわゆるヤクルトレディさんにも多く使っていただいています。業種でいいますと、宅配・宅食、大規模施設、訪問看護といった業種でお使いいただいています。
空港での導入事例もあり、例えば日本航空さんには羽田空港や伊丹空港で使っていただいています。
空港では、飛行機が着陸するとすぐに整備士が駆け付けるんだそうです。これまでは軽自動車を使っていたのですが、結構な駐車スペースが必要になります。その点コムスはとても小さく、置き場所に困らない。これが決め手で導入が決定しました。
宅配では女性ユーザーから大好評
加藤:宅配ですと、以前に二輪、三輪の原付バイクを使っていたお客様がほとんどです。一番評価していただいているのは、安全性です。
原付バイクですと自立しませんから、転倒の恐れがあります。でもコムスなら転ぶことはありませんから、安心感があるんですね。
また、宅配の仕事は女性が多いのですが、原付バイクはヘルメットをかぶらなくてはいけない、という点が不評です。
特に雨の日などは、客先で雨の中ヘルメットとカッパを脱いで、お客様に会うときは、髪はボサボサ、お化粧も崩れたような状態になっていて……これがすごくイヤなんだそうです。それがコムスなら雨風をしのげてヘルメットをかぶる必要もない、ということで。
安心感があること、身だしなみをきちんと整えられること。この点は大変評価をいただいています。
佐野:実際にお寺さんにお使いいただいているケースもありますよ。地方によっては道が狭くて、クルマを停めるスペースがないようなところもありますが、コムスなら停められるということで重宝していただいています。
金高:そこは我々の関知しないところですが(笑)。個人的にはポテンシャルはあると思ってます。
ビッグスクーターが世に普及したときも、(ホンダ)フュージョンの中古車を若い人がカスタムして火が付いて、その後(ヤマハ)マジェスティなんかにつながっていきましたよね。
加藤:ちょうどコムスもフリート(大口顧客向け)販売の中古が出回りはじめる時期なので、これまで以上に見かける機会も増え、より多くの人にコムスを知っていただけるのでは、と期待しています。