【Sneak preview】grafが手がける、暮らしを豊かにするデザイン

Oct 13,2017interview

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Oct13,2017

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【Sneak preview】 grafが手がける、暮らしを豊かにするデザイン

文:
TD編集部

10月20日(金)より連載開始、「graf」の代表 服部滋樹氏のインタビュー。本編をお届けする前に、少しだけ予告&予習をしておこう。grafってどんな集団?何のデザインをしているの?代表の服部さんってどんな人? などなど、ぎゅっとまとめてお届けしたい。

「今必要とされているデザイン」ってどんなものなのだろう

grafに今回、インタビューを依頼したきっかけ。
それは「社会が大きく変わる今、デザインの定義も揺らいでいるのではないだろうか」と考えたことだ。
「今、必要とされているデザインはどんなものなのか」。
そんなシンプルな疑問を、人々の暮らしに注目しながら時代とともに変化しつづけている彼らに投げかけてみたいと思い、私たちは大阪にある事務所を訪れた。

「ものづくり」を通して、「暮らしを豊かにする」ことを目指すクリエイティブユニット、graf。その代表である服部滋樹氏は私たちを温かく出迎えてくれた。暮らしにまつわるあらゆる事柄に取り組むgrafの目指すものが何なのか。時代が変化し、彼ら自身も変化を遂げてきた中で、一貫して変わらないモノの見方、考え方を、原点に触れながら語ってくれた。

ワンクリック時代にデザイナーが仕掛けること

かつて「買物が特別な体験」だった時代があった。少しおしゃれをして百貨店に足を運んだ時代があったことを、私たちは「サザエさん」や「三丁目の夕日」で見て知っている。ほどなくして近くにショッピングモールができ、近所にコンビニがいくつも建って24時間いつでも買物ができるようになった。そして近年。インターネットを使ってオンラインショッピングで完結してしまう時代となった。

「椅子_最安値」「椅子_人気」と検索してワンクリック。モノを見ずに値段や人気という側面だけで商品を選ぶユーザーも多い。「モノを見る目」は必要なくなったのだろうか。こんな時代にgrafがおこなっているのは「余白をデザインすること」だという。

現代の消費者たちは「年齢」や「地域」「性別」などの属性で分けにくくなった。インターネット上でいくらでも情報を集めることができ、知識を得ることができるようになった消費者たちに向けて、デザイナーは何ができるか。突き詰めて考えていった結果、grafはリサーチを重視するデザイン手法を見出した。デザインプロセスの80%を占めるというgrafのリサーチは、ときには書籍化できるほどの膨大な量になる。

「余白のデザイン」、「リサーチとデザイン」。今回はSneak previewだから、あえてこれ以上語るのはやめておく。しかしこれらのキーワードに少しでもピンと来た方は、きっと来週からの連載で多くの気づきを得るだろう。

異業種の集まったクリエイティブユニットが手掛けるデザインとは

さて、grafとは一体どんな集団なのか?
ウェブサイトには、このような紹介メッセージが掲載されている。

こんにちは。graf(グラフ)です。
わたしたちは、「ものづくり」を通して、「暮らしを豊かにする」ことを目指すクリエイティブユニットです。
大阪の中之島と豊中を拠点に、家具の製造・販売、グラフィックデザイン、スペースデザイン、プロダクトデザイン、カフェの運営や食や音楽のイベント運営など、さまざまな手法を使って「暮らし」にまつわるあらゆる事柄に取り組んでいます。
わたしたちの「暮らし」は、家はもちろん、住まいの骨子となるテーブルや椅子などの家具や道具、部屋に彩りをあたえるアートや植物など、数え切れない要素の中に成り立っています。
異なる専門分野があつまり協働し活動することは、わたしたちgrafの活動の原点です。

初期に描いていた未来構想。彼らは6人だった当初から、ものづくりの視点から暮らしを豊かにする仕組みを考えていた。

「異業種」のメンバーが集まった集団は今でこそ増えてきてはいるものの、立ち上げ当時はめずらしかったという。このユニークさが評価され、2002年8月にはイギリスの雑誌、『Wallpaper』に「私たちの生活を変えてくれる10人のクリエイター」として選出された。

バブル時代のカウンターカルチャーとして始まったものづくりの思想

バブル時代に抱いた「違和感」に反発するように、1998年、grafははじまった。きっかけはアンティーク家具の修理店でアルバイトをしていた服部氏と他の5名の出会い。新しい暮らしの構造について模索し始めた彼らは共に作品をつくり始めた。「こんな家具があったらいいね」という話が出れば、メンバーの1人の大工が翌日にプロトタイプを作ってくる。そうやって、日々、作品を生み出していた。

3/6seiries/家具 「3×6サイズという規格サイズの積層合板1枚から制作できるソファ」というコンセプトでデザインされ、graf初期に生まれた代表作。
Photo Yasunori Shimomura

作品が増え、展示会を開催すると予想外の大盛況。初回の展示では約300人が駆けつけた。当時は現代アート真っ盛りな時代。しかし、人々が「デザイン」や「暮らし」というものにも興味があることに気づかされたという。

作品を売って欲しいという声も高まり、1998年にdecorative mode no.3(デコラティブモードナンバースリー)という組織名で「graf」というショップをスタート。オリジナル家具とセレクトしたプロダクトを揃えたショップだった。grafのプロダクトは、ここから商品として人々に広がっていく。

新潟県燕市の金属洋食器メーカー、燕振興工業株式会社のデザインを手がけた商品「SUNAO」

一方で、彼らは機械化された生産地と出会い、職人の技術の喪失に直面するようになる。
「大量生産ではない方法でものづくりをしなければいけない」という思いは強まり、自然と、できあがるまでのプロセスや、プロダクトと人の関係を大事にして丁寧に説明し、発信するようになった。
そんな活動はやがて地域のブランディングに結びつき、grafはデザインや空間設計以外にも、滋賀県や鯖江市、天理市などの自治体と一緒に、様々なプロジェクトに取り組むようになる。

多岐にわたる彼らのデザインに一貫しているのは、「プロセスを大事にする」という考えである。次回より、3回に渡って服部氏にインタビューをしていくが、全ての回で彼らの思想に触れることができるだろう。
プロダクトデザイナーのみならず、地方ブランディングに関わる方にも読んでいただきたい本連載。乞うご期待!

 

※『【連載】ものづくりを通して世界を変える、grafのデザイン – vol.1家具から地域まで携わるデザイナーの想い』は10月20日(金)更新予定です。

 

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