【連載】社会を変えるNOSIGNERのデザインvol.2 独創的なアイディアを生む思考プロセス

Jun 16,2017interview

#NOSIGNER

Jun16,2017

interview

【連載】社会を変えるNOSIGNERのデザイン vol.2 独創的なアイディアを生む思考プロセス

文:
TD編集部

「ソーシャルイノベーションのためのデザインファーム」を掲げるNOSIGNER、太刀川瑛弼(たちかわ・えいすけ)さんのインタビュー。連載2回目となる今回は「問いの立て方」「アイディアの発想法」、そして「仕事を選ぶ基準」まで、率直に聞いてきました。

(前回の記事)vol.1 『デザインを暗黙知から形式知へ』

オープンにすることで世の中に揺さぶりをかける

 今回は太刀川さんの作品づくりやアイディアを生み出す思考プロセスについて少し深く迫っていきたいと思います。
太刀川さんが手がけた作品を見てみると、全体的に何でも「オープンにしよう」という意志が伝わってくるのですが、どういった意図があるのでしょうか。

太刀川:そうですね。そこには、オープンにすることでムーブメントを起こして世の中を揺さぶりたいという気持ちもあります。どういうインパクトがあるのかを試したい。例えばMozillaのオフィスをオープンソースにしましたが、それだけでオフィスデザインという概念が変わるなんて思ってはいません。でも、そういう事例が生まれたということに意味があるんだと思います。オープンソースのオフィスデザインがあるという前提において、インテリアデザインをインテリアデザイナーがどう相対化するのかに意味があるし、思想的に引き継いでくれるデザイナーが現れると思っています。

太刀川氏が手がけたMozilla Japanオフィス内のファクトリースペースの空間デザイン。
オープンソースの理念に基づき、すべての図面・制作手順を公開。
主に一般に流通している素材を用いて設計されているので、誰でも安価に機能的なオフィスを構築できる

こういうデザインを出すこと自体が、世の中に問いを投げかけることになる。僕はプロジェクトを通じて世の中に問いを投げたいんです。マッサージみたいなもので、硬くなっているところを刺激して、揺さぶって、流れが良くなればいいな、と。それが世の中に波及するかは分からないけど、それでもドアをノックしてみる。僕はたぶん、そういうことしかできないので。

 池に小石を投げ続けて波風を起こそうとするようなものですね。結構大変じゃないですか。逆風もあるだろうし。

でももう10年以上やってますからね。最初の3年くらいは確かにそうなんですが、だんだん「その投げっぷりがいいんじゃないか」みたいな追い風も出てくるんですね(笑)。僕よりももっとドラスティックなことをやる人が出てきたり。

 投げた小石の波が消えずに、大きくなっていく、と。

 僕が投げた石が影響しているのかは分からないですし、自分の影響だなんて思わないです。でも同じように石を投げる人がたくさんいて、一緒に同じ方向に向かっていくムーブメントを作っているんだと信じてやっています。

凝り固まった部分を見つけ出すために問いを「拡大」する

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