独創的なシトロエンが戻ってきた!青戸務のカーデザイン大賞解説 vol.1

Apr 07,2017report

#CITROEN

Apr07,2017

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独創的なシトロエンが戻ってきた! 青戸務のカーデザイン大賞解説 vol.1

文:
TD編集部

日本カーデザイン大賞、ゴールデンマーカー賞 量産車部門を受賞したシトロエンC4カクタスは、2015年にヨーロッパでデビューした。その革新的なデザインが高く評価され、ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーをはじめとして、数多くの賞を受賞している。日本カーデザイン賞2016-2017の選考委員長を務めた青戸務氏に、シトロエンC4カクタスのデザインについて伺った。

これから少しでも同じようなデザインを出したら
「カクタスの真似だ」と言われてしまうだろう

カーデザイン大賞・量産車部門にはシトロエンの「C4カクタス」が選ばれました。ポイントは、どんなところにあるのでしょうか。

青戸:これまでのカーデザインのトレンドとは違う、まったく新しいデザインを生み出しているところが、多くの選考委員に評価されました。2014年発売のクルマということで、既に海外で高く評価されているわけですが、やはり今見ても新鮮です。

このクルマのデザインは、カーデザイナーにとってはちょっとショッキングに感じるくらいチャレンジしていて、「独自のデザインを作ろう」という高い志を感じます。これから少しでも似たようなデザインをしたら「カクタスの真似だ」と言われちゃいそうです(笑)。
例えば外観は、フロントに大きなグリルを配置して「睨みをきかせる」のがここ最近のトレンド。でもC4カクタスは、そんなトレンドとは無縁の形をしています。
日本カーデザイン大賞
2016-2017 ゴールデンマーカー賞・量産車部門
シトロエンC4カクタス

インテリアにも新しさがあります。例えば助手席の前にあるグローブボックスは、左右のバックルを持って引き上げる形をしていて、まるで旅行カバンのよう。この形状を実現するためにわざわざエアバッグを天井に付けたそうです。他とは違うデザインを生み出す、というシトロエンの意志の強さが分かりますね。

旅行カバンのようなインテリア

シトロエンの歴史は独創の連続

たしかに個性的なデザインですね。

ある意味、C4カクタスはとてもシトロエンらしい存在だと言えます。彼らの遺伝子には「どこにもないものを作る」という哲学が刻み込まれているんです。過去、ユニークで先進的なクルマをいくつも生み出してきました。

「C4カクタスはとてもシトロエンらしい存在」と語る青戸氏

ちょっと歴史を振り返ってみましょうか。シトロエンの創業は1919年。ダブルヘリカルギアという特殊な歯車の製造で成功を収めたアンドレ・シトロエンがフランスで設立しました。この歯車の形が今のシトロエンのマークの元にもなっています。彼は大衆のためのクルマを作ろうと考え、アメリカのフォードを見に行くんですね。それでベルトコンベア方式を採用した流れ作業の生産方法を学び、フランスに持ち帰ります。実は、ヨーロッパではじめて自動車を大量生産したメーカーなんですね。

「みにくいアヒルの子」と呼ばれたクルマ

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