4回目の応募で堂々の大賞受賞!苫小牧の中学生が描くコンセプトカー

May 17,2017report

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May17,2017

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4回目の応募で堂々の大賞受賞! 苫小牧の中学生が描くコンセプトカー

文:
TD編集部

今年で5回目の開催となった、自動車技術会主催・若者のためのカーデザインコンテスト「カーデザインに挑戦!」。未来のカーデザイナーたちが描くコンセプトカーは、大人たちの想像を超えた本格的なものでした。表彰式の様子をレポートいたします。

こんにちは! TD編集部です。

さて、今日は飛行機の機内アナウンス的に始めましょう。

「お客様の中に コドモの時に『未来のクルマ』を想像して描いたことがある方はいらっしゃいませんかぁー?」

はい、手を挙げたそこのあなた。もしかしたらこの記事を読むと、幼いころのピュアな感覚が戻ってくるかもしれません。

先日おでかけしてきた「第5回カーデザインコンテスト」の表彰式。予想を上回る「本格さ」にびっくりしたので、その取組みをお伝えします。

■カーデザインコンテストって何?

主催者である公益社団法人 自動車技術会によると、このコンテストは技術会傘下のデザイン部門委員会が企画する「カーデザイナー人材育成プログラム」の一つとのこと。

その目的を “感受性が高く、人生観や職業観の形成期にある中高生に向けて想像の楽しさ、カーデザインの魅力を発信し、カーデザインコンテストの開催を通じて志望者の裾野を広げ、「世界をリードするすごくカーデザイナー誕生に繋げる」こと” として開催しているとか。
つまり「若者のためのカーデザインコンテスト」ということですね。

左から順に
カーデザイン大賞(最優秀賞)苫小牧市立青翔中学校3年 青木智志(アオキサトシ)さん
審査員特別賞 女子美術大学付属高等学校2年 足立玲音(アダチレイン)さん
カーデザイン賞(B部門)福岡市立博多工業高等学校2年 占部晴(ウラベハル)さん
カーデザイン賞(A部門)広島市立高取北中学校2年 上川千学(カミカワチサト)さん
ダビンチ賞(B部門)女子美術大学付属高等学校2年 佐藤雲母(サトウキララ)さん
※学年は全て応募当時

5回目の開催となる今年のテーマは「10年後の暮らしを楽しくするクルマのデザイン」。全国の中学生(A部門)と、高校生、高専生の1年から3年生(B部門)の2部門に分かれ、応募総数は268件にのぼり、受賞作品は23点となりました。

2017年3月27日に行われたこの表彰式には、5名の受賞者が全国から集まりました。

■カーデザイン大賞は苫小牧の中学3年生

A部門・B部門を通してトータルで最も優れた作品に送られる「カーデザイン大賞」を受賞したのは苫小牧市立青翔中学校3年生(応募当時)の青木智志さん。応募作品のコンセプトは「日本刀の造形と水素自動車の融合」。

日本刀の「鋭さ」や「しなやかさ」をイメージしており、フロントライトからテールライトへのラインを使って流れるようなスピード感を強調したとのこと。また、水素自動車の利点を活かして「排水をきれいにした水」を車内で飲むことができ、定員数もあえて2名に絞ることで、車内で睡眠をとることも可能。災害時エコノミー症候群対策を意識したコンセプトになりました。
驚くのは青木さん、なんと今回が4度目の応募だとのこと。最初に応募したのは小学校5年生のときで、中高生が対象だったため残念ながら応募条件に満たなかったそうです。選考委員のみなさんが「ぜひ中学になったら応募してほしい!」と、デザインへのアドバイスを添えてお返事を出したとこと、その言葉に応えるように中学に入学してから毎年の応募。
4度目の今回は高校受験の対策期間と応募期間が重なったため、受験勉強と創作の両立が大変だったようですが、見事「カーデザイン大賞」の受賞に誇らしげな表情が印象的でした。

■ダビンチ賞には、高齢者向け一人乗り自動車のコンセプトが

工学的な工夫に優れた作品に送られる「ダビンチ賞」には、個性的な「高齢者向け一人乗り自動車」のデザインが選ばれました。

女子美術大学付属高等学校2年生(応募当時)の佐藤雲母(きらら)さんが創作したコンセプトは「空間で生み出し、目で感じる危険信号」。高齢者用運転安全の新たなスタイルを提案し、信号機とクルマが連動してドライバーや周囲の車に危険を認識させる、というアイディアを寄せました。
「信号機と連動する」というアイディアだけでなくデザインも個性的で、一人乗りモビリティの可能性がぐっと広がるのを予感させられました。高齢者ドライバーの交通事故が社会問題化している現代ならではの作品ですね。
他にも、A部門・B部門それぞれ1名がカーデザイン賞を、審査員特別賞を1名が受賞しました。受賞作品はこちら

■超豪華! プロのカーデザイナーから直接スケッチ指南

編集部がさらに驚いたのは、表彰式後に「ご褒美企画」として設けられた「プロのカーデザイナーによるデザイン指南」。まずはデジタル描画デモンストレーションということで、株式会社ホンダ技術研究所の雨宮大祐氏がデザインソフトとタブレットを用いてスケッチの工程を実演しました。色の塗り方や光の入れ方、背景の描き方に至るまで「プロの技」が盛りだくさん。

ホンダ技術研究所 雨宮 大祐氏によるデジタル描画デモンストレーション。
10分ほどで美しいスポーツカーのデザインが描き上げられた

続いてプロのカーデザイナーが受賞者にマンツーマンでデザインスケッチ指南を行いました。「線の描き方」を指導する方、「下絵」を持参してマーカーで着色する技術を教える方などアプローチの方法は人それぞれでしたが、皆さんとても熱心に取り組んでいました。

コピックマーカーによる着色技法のレクチャーを受けた足立 玲音さん。
担当したのは日産自動車株式会社 杉谷 昌保氏。
重ね塗りの手法や光のあたる場所の塗り方など、専門的なテクニックが惜しみなく伝えられた
上川 千学さんは、いすゞ自動車株式会社 佐野 力氏のレクチャーを受けて
ドロップシャドウを描き込んでいくスタイルにチャレンジ。
最後はグレースケールで立体的な表現をしていた
佐藤 雲母さんは、柔らかい色合いを表現するために「パステル」に挑戦。
レクチャーを担当したのはトヨタ自動車株式会社 八木 大実氏。生まれて初めて触れる画材に興奮!
本田技術研究所二輪R&Dセンター 渡辺 惇氏のレクチャーを受け、
ひたすら「線の表現」を練習していた占部 晴さん。
ストロークや円の描き方、鉛筆の硬度による差など、論理的に表現の基礎に触れた
最優秀賞を受賞した青木 智志さんには富士重工株式会社 金田 雅史氏がレクチャー。
スケッチから着色まで、プロの技を隣でじっくり観察

 第一回カーデザインコンテストの受賞者の一人が、今年自動車メーカーのデザイン部門に就職したというニュースも語られた今回の表彰式。受賞した方々の全員がカーデザイナーを目指しているわけではないかもしれませんが、このスケッチ指南を通してカーデザインの道にますます興味を持ってくれる若者が増えたら素敵ですね。

羽つき、しずく型、着るクルマ…… 選考委員もたじたじ、自由過ぎる発想の数々

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