こんにちは! TD編集部です。
さて、今日は飛行機の機内アナウンス的に始めましょう。
「お客様の中に コドモの時に『未来のクルマ』を想像して描いたことがある方はいらっしゃいませんかぁー?」
はい、手を挙げたそこのあなた。もしかしたらこの記事を読むと、幼いころのピュアな感覚が戻ってくるかもしれません。
先日おでかけしてきた「第5回カーデザインコンテスト」の表彰式。予想を上回る「本格さ」にびっくりしたので、その取組みをお伝えします。
■カーデザインコンテストって何?
主催者である公益社団法人 自動車技術会によると、このコンテストは技術会傘下のデザイン部門委員会が企画する「カーデザイナー人材育成プログラム」の一つとのこと。
その目的を “感受性が高く、人生観や職業観の形成期にある中高生に向けて想像の楽しさ、カーデザインの魅力を発信し、カーデザインコンテストの開催を通じて志望者の裾野を広げ、「世界をリードするすごくカーデザイナー誕生に繋げる」こと” として開催しているとか。
つまり「若者のためのカーデザインコンテスト」ということですね。
カーデザイン大賞(最優秀賞)苫小牧市立青翔中学校3年 青木智志(アオキサトシ)さん
審査員特別賞 女子美術大学付属高等学校2年 足立玲音(アダチレイン)さん
カーデザイン賞(B部門)福岡市立博多工業高等学校2年 占部晴(ウラベハル)さん
カーデザイン賞(A部門)広島市立高取北中学校2年 上川千学(カミカワチサト)さん
ダビンチ賞(B部門)女子美術大学付属高等学校2年 佐藤雲母(サトウキララ)さん
※学年は全て応募当時
5回目の開催となる今年のテーマは「10年後の暮らしを楽しくするクルマのデザイン」。全国の中学生(A部門)と、高校生、高専生の1年から3年生(B部門)の2部門に分かれ、応募総数は268件にのぼり、受賞作品は23点となりました。
2017年3月27日に行われたこの表彰式には、5名の受賞者が全国から集まりました。
■カーデザイン大賞は苫小牧の中学3年生
A部門・B部門を通してトータルで最も優れた作品に送られる「カーデザイン大賞」を受賞したのは苫小牧市立青翔中学校3年生(応募当時)の青木智志さん。応募作品のコンセプトは「日本刀の造形と水素自動車の融合」。
4度目の今回は高校受験の対策期間と応募期間が重なったため、受験勉強と創作の両立が大変だったようですが、見事「カーデザイン大賞」の受賞に誇らしげな表情が印象的でした。
■ダビンチ賞には、高齢者向け一人乗り自動車のコンセプトが
工学的な工夫に優れた作品に送られる「ダビンチ賞」には、個性的な「高齢者向け一人乗り自動車」のデザインが選ばれました。
■超豪華! プロのカーデザイナーから直接スケッチ指南
編集部がさらに驚いたのは、表彰式後に「ご褒美企画」として設けられた「プロのカーデザイナーによるデザイン指南」。まずはデジタル描画デモンストレーションということで、株式会社ホンダ技術研究所の雨宮大祐氏がデザインソフトとタブレットを用いてスケッチの工程を実演しました。色の塗り方や光の入れ方、背景の描き方に至るまで「プロの技」が盛りだくさん。
10分ほどで美しいスポーツカーのデザインが描き上げられた
続いてプロのカーデザイナーが受賞者にマンツーマンでデザインスケッチ指南を行いました。「線の描き方」を指導する方、「下絵」を持参してマーカーで着色する技術を教える方などアプローチの方法は人それぞれでしたが、皆さんとても熱心に取り組んでいました。
担当したのは日産自動車株式会社 杉谷 昌保氏。
重ね塗りの手法や光のあたる場所の塗り方など、専門的なテクニックが惜しみなく伝えられた
ドロップシャドウを描き込んでいくスタイルにチャレンジ。
最後はグレースケールで立体的な表現をしていた
レクチャーを担当したのはトヨタ自動車株式会社 八木 大実氏。生まれて初めて触れる画材に興奮!
ひたすら「線の表現」を練習していた占部 晴さん。
ストロークや円の描き方、鉛筆の硬度による差など、論理的に表現の基礎に触れた
スケッチから着色まで、プロの技を隣でじっくり観察
第一回カーデザインコンテストの受賞者の一人が、今年自動車メーカーのデザイン部門に就職したというニュースも語られた今回の表彰式。受賞した方々の全員がカーデザイナーを目指しているわけではないかもしれませんが、このスケッチ指南を通してカーデザインの道にますます興味を持ってくれる若者が増えたら素敵ですね。