電気自動車でSUV、それなのに「ジャガーらしい」クルマのデザイン
2016-2017 ゴールデンマーカー賞・コンセプト部門
ジャガーI-PACEコンセプト
サイドから見たときのバランスがいい、ということですね。クルマの美しさというのは、プロポーションで決まるんです。
ジャガーといえば昔のEタイプのロングノーズ、ショートデッキ、つまりフロントボンネットが長くリアが短い美しいプロポーションが有名です。
ところがこのI-PACEは違いますね。Aピラー(フロントウインドウの左右の柱)がフロントタイヤの上にきている、つまりキャビンが前にきているプロポーションですね。これはスペースを十分に確保して快適な室内空間をつくりだすという最新の手法です。
さらにリアウインドウを寝かせてバランスをとり、スポーティなプロポーションを生み出しています。
基本的にクルマは、タイヤが四隅にあるほどカッコよく見えます。
I-PACEを見ると、リヤのオーバーハングが非常に短いですよね。だからその分キャビンを前に出して、バランスを取ったのでしょう。
ジャガーのデザイン・ディレクターはイアン・カラムという人なんですが、彼は以前アストン・マーティンも手がけていました。アストン・マーティンも抜群にプロポーションのいいクルマですよね。このI-PACEも、サイドから見たときバランスの良さが際立っていて、それだけでクルマをきれいに見せています。
エモーショナルなラインとウインドウの薄さが
スマートなプロポーションを際立たせる。
さらに、フェンダーの抑揚やサイドのキャラクターラインがとてもエモーショナルですね。そしてウインドウが薄い(高さが低い)のも特徴です。車高の高いSUVはどうしてもサイドビューで見たとき厚みが出るんですが、それをエモーショナルなラインとウインドウの薄さでスマートに見せています。それがプロポーションの良さにつながっているのでしょう。
「速く走れそう」に見えるカーデザイン、3つのポイント
クルマのデザインには、かっこよく見えるポイントというのがいくつかあります。クルマというのは、いわば人力増幅機械ですよね。歩くスピードの何十倍という速度で移動できるという。そこで、「速く走れそう」というのが根本的な魅力になってくるんです。
これは陸上の短距離走者の肉体が美しいのと同じで、クルマもプロポーションが良いほど、躍動感が出てきます。