グランツーリスモで予習した富士スピードウェイ取材前夜
一時期、PlayStation 3のゲーム「グランツーリスモ」にハマったことがある。テレビの前にハンドルをセットして毎日のように走り込み、主要なコースはすべて暗記してしまうほどになった。
そんなある日、富士スピードウェイで新型車両を試す機会があった。といってもサーキット走行経験もない筆者は、ヘルメットをかぶって助手席に座っているだけの簡単なお仕事だったが。
それでもまたとない機会に大興奮し、前の晩、寝不足になるほどグランツーリスモでコースを走り込んで予習した。
すると翌日、コースインして驚いた。初めてのサーキットで助手席に座っているというのに、まったく怖くないのだ。ストレートで180km/hでカッ飛んでいても(国産車だったためリミッターがあった)、「ゲームと比べるとずいぶん遅いな」と感じてしまう。挙げ句の果てには、経験豊富なドライバーに向かって「今のコーナー、もっと突っ込めますよね」なんて暴言を吐く始末。ドライバーにとってみれば、現実とゲームの世界を完全に混同した、めんどくさいやつだったに違いない。
コースを覚えたことでモータースポーツ観戦がより楽しく
さて、ゲームでサーキットのレイアウトを覚えたら、もうひとつうれしい驚きがあった。モータースポーツのTV観戦がメチャメチャ楽しくなったのだ。
もちろんそれまでもモータースポーツは好きで、F1やSuper GT、バイクのMotoGPなんかはよく見ていた。だがどこか、別世界の出来事としてレースを見ていたように思う。
だがコースを覚えた途端、レースがぐっと身近になった。
ドライバーの感じていることや見ている景色が何となく想像できるようになったのだ。「ここは上り坂だから先が見えなくて怖いよねー」とか「このカーブは奥がキツいから無理しないで!」とか、感情移入の度合いが跳ね上がった。
ということで、少しでもモータースポーツに興味がある方は、ぜひゲームでサーキットを走ってみてほしい。最近のゲームは本当にリアルなので、アップダウンや遠くの景色までリアルに再現されている。
今回は、コースを覚えるのにオススメのアプリを2つ紹介する。
ひとつは 「Real Racing 3」。国内外のサーキット18コースを収録している。個人的にオススメはスパ(ベルギー)、ルマン(フランス)、シルバーストーン(イギリス)、そして日本が誇る傑作サーキットの鈴鹿あたりだ。
スマホゲームとは思えないほどグラフィクはリアル。感覚的にはPlayStation 3の「グランツーリスモ6」あたりを見ているようだ。もちろんコースも風景や高低差までしっかり再現されており、これで走りこめば自然をコースを覚えるだろう。
開発元であるEAのサイトでは、どのようにコースを作り上げているか、その舞台裏が紹介されていて興味深い。これを見ると、実際にコースを走って風景を車載カメラで撮影し、さらに実際にスタッフが走った際の感覚を元に調整しており、かなりの手間がかかっているのが分かる。
もうひとつのオススメはF1の公式ライセンスゲーム、その名も「F1 Mobile Racing」だ。公式ゲームだけあって、2018年のF1で使われたサーキットをすべて収録。さらにチーム名、ドライバー名もすべて本物となっている。
このゲームでは、市販車とは桁違いのF1のレーシングスピードを体験できる。だからF1を観戦する前にこのゲームをやりこんでおけば、実際のレースでドライバーが見ている風景がイメージできるのだ。目の前のバトルがどれだけ極限の状況で行われているのか、トップドライバーのすごみがよく分かるはずだ。
別にレースをしなくても、のんびり景色を見ながら流すもよし、わざと周回遅れになってフェルスタッペンに突撃するもよし(よくない)、楽しく遊べるゲームである。
問題はどちらのゲームも、ある程度やりこまないと選べないサーキットがあること。
レースしなくていいから、好きなサーキットを好きなクルマで走るだけのゲームがあるといいんだけどな。
編集部では、マニアックなアプリやゲームの情報なども引き続き募集中だ。変わり種大歓迎。あなたのお気に入りもぜひ、教えてほしい。